--.--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2008.02.04

大神ヶ岳 - 「匹見再発見」 17

三坂大明神の祠 ひと際高く、また三角形をした優美な山は、古くから〝神が宿る〟などとして神聖視されてきた。標高1000m前後の中国山地を背にした匹見では、そうした山は少なくない。例えば恐羅漢山、安蔵寺山、春日山など。中でも標高1170mの大神ヶ岳は著名だ。
 ここには三坂大明神という女神が祀(まつ)られている。そのため、女性は念仏ヶ原から先へは立入りを許されなかったとか。日本八天狗の一つで、豊前山伏たちの行場だった-などの口伝もある。
 国学者・藤井宗雄の『石見私記』にも「大臣嶽、大臣は天狗の名という高山にて魔処なり」と記され、古くから畏敬視されていたことが分かる。それは山頂にそびえ立つ、幅50m、高さ20mの凝灰岩から成る懸崖(けんがい)の威容さによるものだろう。
 こうした山岳は、一方で「山の神」の在所地でもあり、その神は女神とする場合が多い。つまり子を産む、という能力が一方で生産神としての山の神と一致するからだ。今でも妻のことを「うちの山の神が…」という言い方をするのは、ここから来ている。
 大神ヶ岳では、女性を表徴化したと思われる岩の割れ目が、祠(ほこら)の背後に見られる。そこからはさい銭の古銭が出土し、信仰の対象だったことがうかがえる。
 一方、修験山伏にまつわる口伝もある。彼らは山に臥(ふ)し、罪やけがれを滅ぼし、新しい身分となって山から下る。まさしく巨岩崖壁の大神ヶ岳は、格好な修験の場だったに違いない。
 中腹には、〝潜る〟ことでけがれを払い、新しい身分となって生まれ代わるという修験の本旨を実修したらしい「潜り岩」も見られる。
 歴史に思いをはせながら登山するのも一興だが、初夏の岩肌に咲き乱れるヤブウツギの花は、目を和ませる。 

 

写真:大神ヶ岳の懸崖に祀られている三坂大明神の祠

 

(文・写真 / 渡辺友千代、田代信行)


※この記事は、2008年2月3日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。

 

スポンサーサイト

この記事へのトラックバックURL
http://manabiya.blog76.fc2.com/tb.php/76-7b0dc148
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。