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割元庄屋美濃地家(下) - 「匹見再発見」 59
長屋門をくぐるとガッショウ(合掌)造りという母屋が眼前にどっしりと構える。屋根には棟を押さえるホテが11本あり、通常の民家より多い。また70~80cmの厚い茅ぶきを目の当たりにすると、まさしく当家が割元庄屋であったことをうかがわせてくれる。
左手の大戸から入ると25坪(約82.6平方m)の土間。吹き抜けになっている屋根裏を見上げると、梁、桁が縦横数段に組み上げられ、中でもウシビキ梁などは直径3尺(約1m)もあり、それを支える大黒柱も直径1尺1寸(約30cm)のヒノキで、何から何まで巨大だ。
土間から上間方向に目をやると、前側はオモテ、ナカノシマ、ザシキとつづき、そこはハレの間取りである。「ハレ」と「ケ」という言い方があるが、「ハレ」とは特別な祭り、冠婚葬祭といった非日常的なことをいい、そのときに使われた間のこと。
つまり、板戸で仕切られた土間に続くオモテは神棚が設けられた客間。ナカノマは、上客(近世期には代官などの官吏)が正式な入口である式台から上がってあいさつ、面談する間であり、最上の間がザシキである。
したがって、両間のあいだの鴨居には欄間が施されたり、ザシキには天袋や違い棚の床、附書院はもちろん、飾り金具も見られるなど、高い技術の結晶されている。
そして「ケ」というのは、住居ではカッテ、イマ、ネマとかいった普段・日常的に使う間取りをいい、それらは裏側や下手側に設けられているのが普通だった。
当家ではイマ、オク、サキノマなどがそれに当たり、大部分を壁で仕切られた前側のハレの各間とは異なり、簡潔で質素な造りになっている。一部異なった部分もみられるが、こうしたハレの間が3間、ケの間が3間、合わせて6間取りというのは普通の民家では見ることはできない。当家が士分級の庄屋であったことが間取りからもかいま見える。
以上、機能面から見てきたが、当家は美観的意匠にも優れている。私は特に下手の妻側から見るのが好きだ。
写真:美濃地屋敷の土間から座敷方向を見る
(文・写真 /渡辺友千代)
この記事は、2009年11月22 日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。
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