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2009.03.09

春がきた - 「匹見再発見」 44

セリバオウレンの花  今年は春が早いようだ。
 3月1日、高津川水系では渓流釣りが解禁になり、匹見でも釣り仕度の人を見かけるようになった。年によっては、川べりに深く残る雪を踏む、寒さのなかの釣行になるが、今季はその心配はない。
 岸にはネコヤナギの花が咲き、すでにハチの姿も見える。雨が多く、雪解けの水もあるのだろう、川の流れは豊かで、お日さまの下で眺めるその景色は気持ちがよい。
 秋が山の上から降りてくるように、春は川べりから、谷筋からやって来る。
 毎年、春一番に咲く小さな花を、沢沿いの小道に探しに出掛ける。すぐ近くで、ミソサザイがさえずっている。林の底に、小さな灯りのような花。セリバオウレン(芹葉黄連)だ。
 春の、ほんの一時期にだけ花を咲かせる「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」のひとつ。雪が消えると早速、首をもたげるように茎を伸ばし、花をつける。その様は、春の生命力に満ち力強い。
 追いかけるように、マンサクやコチャルメルソウ、ショウジョウバカマなど、谷は花盛り。やがて山や里にも、一気に花が春を連れてくる。キブシ、スミレ、ミヤマカタバミ、アマナ、ヤマブキなどなど。サクラやコブシ(タムシバ)が咲けば、春も本番だ。
 ただ、暖かい冬が早い春を導いてきた今年、農作物への影響もあるだろう。ワサビの花がもう咲いちゃうよ、という慌てた声や、こんな年は冷夏になるかもしれない、という不安げな声も聞こえてくる。
 いずれにしても、匹見が活気づくのはこの時季から。山も川も、野も里も、ここから1年が始まるといってもいい。今年はどんな年になるんだろうか。

 

写真:落ち葉の下から首をもたげ、花を咲かせるセリバオウレン

(文・写真 /田代信行)


この記事は、2009年3月8日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。

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