ふるさと交流会 - 「匹見再発見」 31
旧盆のころ、匹見は帰省した人たちで人口が倍増し、日ごろ見かけない若者たちが町中を行き来し、活気がみなぎる。
匹見地区萩原自治会では年に一回、お盆に「ふるさと交流会」を実施し、地元出身者との交流を深めている。
萩原自治会は、戸数20戸、人口48人、高齢化率46%の少子高齢化が進んだ小集落だ。自治会運営も年々困難な状況となっている。
そこで、課題の解決のため、都会に住む地元出身者にも、地域の現状を知ってもらい、同時に地域の未来像についても一緒に考えてもらおうと、10年前からこの交流会を実施している。
Uターン意向調査なども行い、将来定年退職したらUターンしたいとの回答を得たり、実際にUターンが実現したりと、その成果は大きい。
また、この他にも魅力ある集落活動として、地元の新鮮で安全な食材を使った田舎料理を、集落内の「萩の舎」で提供。また、作り手のなくなった水田を荒らさないため集落でうるち米や古代米を共同栽培し、小学生を対象とした「古代体験ツアーを開催したり、「萩の舎」の古代メニューに取り入れたりしている。
さらに、20アールのブルーベリー園では手摘みで年間2トンを収穫。ベリー餅、猪肉のベリー煮などさまざまな加工品を開発。特に人気の「わがままばあちゃんの自慢作ブルーベリージャム」は年間6000本を販売している。
全国でさまざまな取組がある中、いかに当地域への定住を確実なものにしていくか。「そこに住みたくなる」地域の魅力の発掘と、それをいかに情報発信していくか。「呼びかけ・きっかけづくり・UIターン後のきめの細かいフォロー」が必要となっている。
写真:帰省客らを交え開かれた萩原ふるさと交流会
(文・写真 /山本裕士)
この記事は、2008年8月23日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。
夏野菜 - 「匹見再発見」 30

キュウリにナス、トマトやピーマン、トウモロコシと、「これぞ夏」を感じさせてくれる野菜が、どこの畑にもにぎやか。これら定番の他にも、ウリやシシトウ、ジャガイモに枝豆(大豆)、ニガウリ、スイカ、ニンニクなどなど、夏を健康に乗り切るために欠かせない顔ぶれが並ぶ。
街暮らしではスーパーの店先でしか見られないようなカゴにいっぱいの野菜が、ここでは、畑から台所へ新鮮なまま直行。その自給率はかなり高いだろうが、わが家のような「消費専門」の世帯にも、ありがたいおすそ分けが回ってくる。
「よかったら、もらってくれんかね」という、もったいないような言葉といっしょにいただくみずみずしい野菜たち。
子どもは、トマトでもキュウリでも、丸ごとかじるのが好み。キュウリやウリ、ナスなどの塩もみは、もうその素材の味だけでいくらでも食べられる。
三杯酢でつくる、キュウリなますは、当地ではおなじみのメニュー。毎日三食必ず食べるという方もいるとか。「河狩り」の際に、河原で食べる鮎なますは格別だ。
河狩りといえば、毎年恒例の「川ガキ講座」でいただく石焼きは絶品。熱した石や鉄板の上で、鮎うるかとナスを味噌などで味つけして焼く。ジュワッと染み出す野菜の旨みを満喫できる。
先日、仕事で草刈りをしていた際、近所の方から「暑いでしょう」とトマトの差し入れがあった。真っ赤に完熟した実は、この上ない「匹見のごちそう」だった。
写真:おすそ分けの夏野菜
(文・写真 /田代信行)
この記事は、2008年8月2日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。