2008.05.25
ムカデ祭る八祖さん - 「匹見再発見」 25
匹見には土俗的な信仰、また石像や祠(ほこら)などが少なくない。例えば、猿を祭った「猿王さん」、女性のしもの病気に効くという「おはいたさん」、耳の聞こえが良くなるという「ごくうさん」などがある。
中でもムカデを祭るという八祖(はっそう)さんは珍しい。その八祖さんは町内の匹見の半田、紙祖の元組、道川の元組の三地区に祭られており、いずれも「ムカデの天敵であるニワトリは飼ってはならない」という伝承がある。
ムカデは多くの足をもつ節足動物で、5〜10数センチあり、夜行性、昆虫やミミズを食べる肉食動物である。噛まれるとひどい痛みをともなうが、古くから強壮剤、切り傷などの漢方薬として使われてきたらしい。
そういった俊秀・効果性などがあり、お金を「オアシ」というが、その多足ということから商売人、芸能者に喜ばれたりした。そしてナメクジとの競争という民話に登場したり、特に田原藤太のムカデ退治は有名である。
一方では、様態などが鉱山の窟穴(くけつ)に似ているとともに、またそういった場所にムカデは生息していることが多いことから、古くから鉱山関係者に信仰されてきたのであった。
ムカデを祭るといった奇怪きわまりない信仰ではあるが、その根底には中世末期から近世期にかけて営まれてきた銅山・たたらなどの鉱山関係者の信仰の残存ではなかったか。
6月7日、そんな匹見の小さな神仏をめぐる「路傍の神仏を訪ねて」が行われる。問合せ・申込みは匹見上地区振興センターまで。(電話0856・56・1144)
写真:道川地区の元組にある「八祖さん」
(文・写真 /渡辺友千代)
この記事は、2008年5月24日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。
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