山菜の季節 - 「匹見再発見」 24
早春、雪が消えるのを待ちきれないように顔を出すフキノトウ。山菜の季節は、すでにここから始まっている。その苦味は、たしかに春の到来を感じさせるが、本格的に山菜を楽しめるのは、山が新緑にうっすら染まる時季からだ。
フキノトウに続く春の味覚といえば、やはり「うでぢか」。匹見ではハナウドのことを指し、新芽を広げたところを採る。ごまあえや白あえの独特の風味は絶品で、ファンも多い。
天ぷら材料の代表はタラの芽。ウコギ科タラノキの新芽を大事にかき採ってくる。同じウコギ科のボカ(コシアブラ)の芽は、最近人気が出てきて、人によっては、こちらの方が香りがよいと好んで食べる。
木の芽では、以前はリョウブの若い葉をご飯に炊き込んでいたとのことだが、こちらは最近、ほとんど見かけない。
おなじみの山菜といえば、ワラビやゼンマイ、フキ、ウド、タケノコなどいろいろあるが、いずれもひと手間、ふた手間の下ごしらえが必要だ。ことに、ゼンマイなどは干したりもんだりを繰り返し、口に入るまでには何日もかかる。
また、これらのよく利用される山菜というのは、乾燥や塩漬けなど保存の方法もよく知られ、夏から秋、ときには翌年の冬に料理となって出されることもある。
山菜は大切な保存食であり、換金のための産物という面も持ち合わせていた。が、結局、山菜採りの魅力は、そのこと自体が「楽しい」ということだろう。寒さの緩んだ春の野山をゆくうれしさ、気持ちよさ。
一部の有毒なものに気をつければ、多くの植物が食用となる。今まであまり目を向けていなかったもののなかに、隠れた宝がふんだんにある。
写真:野山で採れた山の幸
(文・写真 /田代信行・田代祐子)
この記事は、2008年5月10日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。







