「山葵天狗社例祭」の季節です
毎年恒例、6月の第1日曜開催の「山葵天狗社例祭」が、今年も6月7日にとり行われます。
三葛・笹山地区のワサビ農家が中心となり、大神ヶ岳中腹にまつられた山葵天狗社(やまあおいてんぐしゃ)に、豊作と安全を祈ります。
お社前での祭祀の後は、麓の夢ファクトリーみささにて、神楽などのアトラクションが行われるとのこと。
ぜひ、お出かけください。
日時:平成21年6月7日(日)
午前8時30分より 山葵天狗社(大神ヶ岳登山道途中)にて祭祀
午前11時ころより 夢ファクトリーみささにて神楽等アトラクション、地元物産の販売、食事
匹見再発見「山葵と天狗」
http://manabiya.blog76.fc2.com/blog-date-20080608.html
匹見再発見「大神ヶ岳」
http://manabiya.blog76.fc2.com/blog-date-20080204.html
山葵と天狗 - 「匹見再発見」 26

山葵天狗社は、1982(昭和57)年、地元三葛・笹山地区でワサビを栽培する人たちにより、豊作を祈って建てられた。
「神が宿る」「天狗がすむ」と、昔から伝えられてきた大神ヶ岳。ここを源にして湧き出す水は絶えることがなく、山の樹々が落とす葉からは豊かな滋養が溶け出している。この水がワサビ谷や麓のくらしをずっと支えてきた。
そんな自然からの恵みへの感謝と、それがこれからも続いて欲しいという願い。とともに、ワサビや田畑の作物を病害虫から守りたいという思いが、この祭りには込められている。
神社建立の翌年、創作神楽『山葵天狗』が誕生。ワサビの害虫を悪霊化した黒妖霊が天狗に退治されるという内容で、毎年この祭りに合わせて上演される。
会場は、旧三葛小学校の校舎を活用した「夢ファクトリーみささ」。神楽や踊りなどを見ながら、地元の食材を使った、蕎麦や田舎寿司などを味わうことができる。いわば、神様も地元の人もお客さんも、いっしょに楽しむ「直会(なおらい)」だ。
この日は、大神ヶ岳から尾根を縦走し、立岩・赤谷山までの山開き登山も行われる。登山口から四十分ほどで大神ヶ岳、そこからさらに四十分ほどで立岩の上に立つことができる。
どちらも懸崖がそびえ、上から眺めれば空に浮かんでいるかのよう。縦走路も開放感があり、青空の下を「空中散歩」するのは実に気分がよい。
初夏の山里を満喫できる一日だ。
写真:岩のくぼみにひっそりと立つ山葵天狗社
(文・写真 /田代信行)
この記事は、2008年6月7日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。
埋め飯 - 「匹見再発見」 15
匹見に古くから伝わる郷土料理に「埋め飯」がある。
具材は、ささがきしたゴボウ、ニンジン、そして里芋、シイタケ、豆腐、これに山鳥(またはウサギ)などの肉が加わる。味付けは、しょうゆで、濃いめにする。
仕上がったら、具と煮汁を椀(わん)に注ぎ入れ、五分めに張る。そこに炊きたての飯を盛り付けるが、欠かせないのがワサビ。すり下ろしたワサビを椀の中に封じ込めるようにしのばせるのがコツで、素朴な味わいを大いに引き立ててくれる。
飯の上には季節に応じた木の芽、あるいはセリなどの薬味をのせると、一段と食欲が増す。
具と汁を熱々の飯の中に埋めた「埋め飯」。由来は、主役とするワサビを飯に封じ込めたからだとか、具を埋めるように下に張ったから、あるいは客に「粗末なものですが」という遜(へりくだ)った出し方をしたからなど。語源は定かではない。
地元の山野で簡単に得られる食材ばかりで、手の込んだ非日常的な晴れの料理とはいえない。
実はこの埋め飯、浜田市三隅などの海岸沿いでは、サザエやアワビなど魚介類を加え、ワサビの代用にショウガを添えたという(木村晩翠著『随筆石見物語』)。
要するに、郷土料理は、その地域、地域にある身近な食材を活(い)かしてこそ、真の郷土料理と言える。
それにしても匹見の埋め飯を食べると、強い辛味の中にもどことなく甘味をもった食感に、「涙してもやめられぬ匹見のワサビ」を実感する。ぜひ、埋め飯をご賞味いただきたい、と思う。
写真:薬味にセリをのせた埋め飯。匹見特産のワサビを封じ込める
(文・写真 / 渡辺友千代)
※この記事は、2007年12月23日付の山陰中央新報掲載分を加筆・訂正して転載したものです。
ワサビ栽培とその取組み

谷内は公園のようにめぐりやすく整備されていて、とても気持ちのよい空間。オーナー制度など消費者との交流を行うことで、新たな方向を目指したいというお話も現実味をおびていました。(報告:NT)