ひきみ「恵」写真コンテスト受賞作が決まりました
2月28日に募集が締め切られた、『ひきみ「恵」写真コンテスト』の応募作品の審査がおこなわれ、あわせて10点の作品が選定されました。審査委員は、島根写真作家協会理事の吉崎佳慶さんにお願いしました。
ご応募くださったみなさま、本当にありがとうございました。
3月27日、表彰式が行われ、今年も受賞者のみなさんと楽しく交流することができました。交流の時間もこの事業の大切な部分になっています。
各賞の受賞作品と受賞者は、以下の通りです。
最優秀賞 「川原の彩り」 入江孝美(広島市)
優秀賞 「朝の風景」 河野波香(匹見)
「初冬」 島田圭子(益田市)
「ドングリみーつけた」 福原純孝(益田市)
まなびや賞 「生命(いのち)の力」 藤井 樹(匹見)
入賞 「ゆきあそび」 石橋留美子(匹見)
「梅の花咲く里」 大庭信賢(益田市)
「傘行列」 白岡真由美(益田市)
「匹見分校と共に」 瀧川純一(益田市)
「山葵神社祭礼」 寺田義紀(広島・安芸郡)
《審査評》 吉崎佳慶 (島根県写真作家協会理事)
総評
今回のテーマは『あなたが魅力と感じる匹見の恵(めぐみ)』。一見簡単そうなイメージをもちますが、いざ一枚の写真で表現するのはかなり難しい面もあります。しかしながら、匹見地区内外から多くの応募があり、楽しく審査することができました。
なお、参考までに一言感想をいいますと、写真は自分の気持ちを第三者に伝えることができる「大きなパワー」をもっています。撮るときに「写す心」を十分に意識して、いろいろな写し方をしてほしいと思います。これが基本の基本です。
最優秀賞審査評
「川原の彩り」 入江孝美
匹見の魅力を広葉樹林文化の薫る町ととらえた作品です。紅葉した木々の色が匹見川の川原の水たまりに映し出されたようすをフレーミングで切り取ったことと、川原の色をやや黒くつぶしたことにより、絵模様のような匹見峡を次から次へと感じさせる印象画面となりました。作者の気持ちが伝わってくる良い作品です。
以上
優秀賞、まなびや賞、入選の作品は、以下からごらんください。
続きを読む締切り間近!! ひきみ「恵」写真コンテスト

昨年、一昨年と「農」をテーマにして作品を募集しましたが、今年は「恵(めぐみ)」をテーマに行います。
これまでのテーマ「水」「木」「農」も、それぞれに大切な匹見の「恵」で、そんな視点からの作品も多く応募がありました。
今回はそれの集大成、というわけでもありませんが、さまざまな場面を想像することができるかと思います。
匹見に住んでいる人にとっては、「ああ、匹見で暮らしていてよかったなぁ」と思えるような、
匹見の外から訪れた人にとっては、「匹見に来たから出会えたんだなぁ」と思えるような、
そんな場面をカメラにおさめ、私たちやたくさんの人に紹介してください。
募集要項は以下の通りです。ご応募をお待ちしています!
ひきみ「恵」写真コンテスト 募集要項
● 募集テーマ : 匹見の魅力再発見「恵(めぐみ)」
● 応募締切日 : 平成23年2月28日(月)
● 撮影対象 : あなたが魅力と感じる、匹見地区内の「恵」
(例:「野山や川からの幸や加工品・作業」「農林業からの収穫物や加工品・作業」「豊かな自然」
「人と暮らし、歴史、・文化」などなど・・)
● 応募作品 : 応募作品は未発表のもので他のコンテストに応募予定のないものに限ります。
撮影はフィルム、デジタル(合成加工は不可)ともに可。ただし、プリントに限ります。
応募サイズは4切(ワイド可)のみ。
応募作品は原則として返却いたしません。
人物が写っている場合は、被写体本人(または保護者)の承諾を得てください。
参加作品ごとに下記の事項を付記してください。
・作品タイトル ・撮影年月日 ・撮影場所(できるだけくわしく)
・撮影者氏名 ・住所 ・電話番号
・作品に対するコメント(撮影したもののどこに魅力を感じたか等)
● 賞 : 最優秀賞 1点 優秀賞 3点 入賞 5点 特別賞 数点
いずれも、賞状・賞品(匹見和牛、森の器等の匹見特産品)
※賞品については主催者の都合により変更することがあります。
● 審査員 : 主催者審査委員会
● 審査基準 : 写真の技術よりも「匹見の魅力をよりよく伝えているもの」とします。
● 発表 : 受賞者に直接通知します。 平成23年3月中旬予定
● 展示会 : 匹見角地区振興センター、美濃地屋敷等、可内での展示を予定しています。
● 応募上の注意点 : 応募点数に制限はありません。
全応募作品の使用権は主催者に帰属し、プリント展示、出版物、広告宣伝、インターネットなどへ
無償で使用させていただくことがあります。
応募作品はすべて、地域資源の貴重な資料として保存させていただきます。
● 個人情報について : 応募者から提供いただいた個人情報は当コンテスト運営のみに使用し、
以下の場合を除き第三者へ一切公表いたしません。
作品の展示会において作品名と氏名、コメントのみを公表します。
氏名の非公開を希望の方は、応募の際にお申し出ください。
● 主催 : ひきみ学舎 後援 : フォト高津川21、益田市(予定)
● 問合せ・申込先 : 608-1211 島根県益田市匹見町匹見イ679 いこいの家内
ひきみ学舎事務局 担当:河野、田代
tel:0856-56-1144 (夜間)0856-56-0443
「琵琶演奏会」のお知らせ
・日時:平成22年11月18日(木) 15:00~20:00
・集合場所:匹見上地区振興センター(匹見上公民館)
・日程
15:00-16:30 伝説地見学~休憩
17:30-18:20 夕食
18:40-19:50 琵琶演奏
・参加費:1000円(夕食・聴曲料を含む)、琵琶聴曲のみは700円
伝説地案内:匹見上地区振興センター 渡辺友千代
夕食協力:匹見上地区食生活改善推進委員
薩摩琵琶演奏:大野友梨子
先着35名で締め切りとします
問合せ先:匹見上地区振興センター(tel:0856-56-1144)
地元を学ぼう!!
その第一弾として匹見上地区振興センターと共催し、センターのあるウッドパーク館内や周辺の史跡等を教材に、匹見の自然や歴史、文化についての基礎講座を行います。
大勢の方の受講をお待ちしています。
まなびや講座「地元を学ぼう!!」
開講日:平成22年6月20日(日)
時間:午前9:30~12:00
場所:ウッドパーク(匹見上地区振興センター、匹見上公民館)館内および、その周辺の史跡・施設
講師:渡辺友千代さん(匹見上地区振興センター長)
問合せ・申込み
匹見上地区振興センター TEL:0856-56-1144
石垣築地 - 「匹見再発見」 67

しかも田圃1枚ごとに、それに似合って付けられていた地名までも消え去ったのである。地名は「焼けない資料」といわれる貴重な遺産。地番式となったことで消滅してしまったのは残念だ。
ただ圃場整備が行われていない石谷地区では、立地に即応した田・畑の石垣と実生活とが微妙にマッチし、美しい山村風景を醸し出していて、これは原風景といってもよい大切な遺産だ。規模からいうと、匹見では小広瀬地区に勝るものはないが、集落が崩壊に近く荒廃化してしまったのが惜しまれる。
このような石垣築地は、大きく分けて「野づら積み」そして高度な「切り込みハギ」「打ち込みハギ」などがあるといわれる。匹見では大半は「野づら積み」といわれるものだ。
その「野づら積み」にも、広島北西部(旧山県郡)の石垣師は、上端部を平らに仕上げるものの、ほかは石を斜めに積み上げていくという技法のものらしい。山口の周東部(南部岩国)のものは、石の向きはあまり考えずに積み上げた後、すき間ができると小石を埋め込んでいくという方法だという。
匹見のものを見ると、大半は前者の山県郡式なのだが、「牛蒡(ごぼう)積み」であったり、屋敷取りのものは「切り込みハギ」であったりと、他の様式も見られる。
石にもいろいろあり、川近くのものは円礫のもの、傾斜地のものには角礫のものが使われている。掘ればいくらでも石が出土するという土地柄だけに、材料に不自由するということはなかっただろう。
高く幾重にも積み上げられた石垣を見ると、今さらながら祖先たちの苦労が胸に迫り、すぐには立ち去り難いものがある。
写真:紙祖小原地区に残る石垣築地
(文・写真 /渡辺友千代)
この記事は、2010年3月21日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。
※この回をもって、本連載は終了いたしました。長い間、ご愛読いただきありがとうございました。
09年度ひきみ「農」写真コンテスト受賞作品
1月31日に募集が締め切られた、『ひきみ「農」写真コンテスト』の応募作品の審査がおこなわれ、あわせて10点の作品が選定されました。審査委員は、島根写真作家協会理事の吉崎佳慶さんにお願いしました。
ご応募くださったみなさま、本当にありがとうございました。
各賞の受賞作品と受賞者は、以下の通りです。
最優秀賞 「朝靄の中」 河野波香(匹見)
優秀賞 「ハス組合の慰労会」 入江孝美(広島市)
「ハロー! HOW ARE YOU?」 瀧川純一(益田市)
「代かき」 寺田義紀(広島・安芸郡)
特別賞 「農を継ぐ」 山下邦都(益田市)
入賞 「筵を編む」 蔵本常子(匹見)
「炭出しの日」 蔵本真里(匹見)
「寒の日」 島田圭子(益田市)
「春を耕す」 福原純孝(益田市)
「早苗楽園」 水野博充(益田市)
《審査評》 吉崎佳慶 (島根県写真作家協会理事)
総評
匹見の魅力を再発見しようとスタートした写真コンテストも、今回で4回目となった。今回のテーマ「農」。出品者・出品数はもちろん、作品レベルが相当高いものになってきている。
特に上位の作品は、被写体のとらえ方や画題の工夫、フレーミング等素晴らしく、匹見の魅力をイメージアップするに充分な作品である。きっと、見る人を感動させてくれることだろう。
最優秀賞審査評
「朝靄の中」 河野波香
匹見の魅力再発見テーマ「農」の応募作品の中で、最もインパクトを感じた作品。町内のかかし祭りの一コマである。
農村を背景に、親子のかかしを適切なフレーミングで、早朝の靄を入れて作品にした作者の意図が素晴らしい。
以上
優秀賞、まなびや賞、入選の作品は、以下からごらんください。
続きを読む春の川 - 「匹見再発見」 66

木々が芽をふくらませているのだろう、山がほんのり赤っぽくなった。目覚めの早い草や木が小さな花を咲かせ、鳥たちのまだたどたどしいさえずりも聞こえてくる。
田畑に緑が増え、作業する人たちの姿も目につく。日が照り、体を動かせば少し汗ばむような暖かさが心地よい。
そして、雪解けの水もあるのだろう、やや水量の多い川の流れに陽光が反射してきらめく様子は、何だか気分がうきうきするような、私の好きな春の景色だ。
3月1日には渓流釣りが解禁。まだずいぶん冷たいだろう流れに立つ人たちを、ちらほらと見かけるようになった。アユ解禁の時季には卯の花(ウツギ)がよく似合ったが、いま川辺を彩るのはネコヤナギだ。
十数年前、匹見に越して来て間もなく渓流釣りを習った。魚はあんまり釣れなかったが、人の気配がない谷で竿を出し流れを見つめていると、川の一部になったようで気持ちよかった。
このところ、釣りにはすっかりご無沙汰しているが、春の川にうきうきしてしまうのは、釣りに夢中だったあの頃の気分がよみがえるからかも知れない。
連なる山なみは、よく大地の背骨に例えられる。また、その谷々から湧き出る小さな流れが集まってめぐっていく様子は、精気を循環させる血管なのだと。
いま、まさに匹見の野や山、川には活力がみなぎり、これまで繰り返してきたのと同じように春を迎え、新しい1年が始まろうとしている。
写真:きらめく春の川
(文・写真 /田代信行)
この記事は、2010年3月7日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。
持三郎の御座石 - 「匹見再発見」 65

この岩頭上に、古くは八幡神が祀(まつ)られていたと伝えられていることから、まさしくこの巨石は神にかかわる御座石(みくらいし)といえるものである。
社祠などは鎌倉期(1192~1333)の大洪水の時に流失し、ご神体は、鎌手の大谷・大浜の間の三田瀬沖に漂着し、これを両浦の者たちが奪いあったと伝えられている。
伝説はさらに続き、その後ご神体は三田瀬に祀られたものの「久城に移りたい」とのご神託があり、櫛代賀姫(くしろかひめ)神社の境内に明星山八幡宮として祀られたという。今も行われている同神社の「相撲(角力)」「針拾い」という両神事は、その故事に基づくものらしい。
神事は夏祭り(小祓祭)といって9月15日、御幸場(みゆきば)という浜場へ巡幸し、そこで行われる。
まず獅子舞があり、ご神体を奪い争ったという両浦の2人が相撲で競い合う「相撲神事」がある。1勝1敗1引き分けという神前相撲だ。
それが終わると1人の老婆が斎場内を必死になって、なくしたという針を捜し回るが見つけることができない。それを見かねた神職が、最後には神針を授けるというのが「針拾い神事」だ。
一説にはその老婆こそ、両浦のもめごとの仲裁に入った特三郎の者だというのである。こうした因縁から、かつては本地からもご巡幸には参列していたという話も伝わっている。
いずれにしても遠く隔てた海辺の地に、本地に絡んだ起源説で語られていることに驚き、貴重な両神事が永く伝承されていることに頭が下がる。
写真:巨岩が横たわる澄川持三郎
(文・写真 /渡辺友千代)
この記事は、2010年2月21日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。
小さな隣人 - 「匹見再発見」 64

暖かい地方からは、次々に花の便りが届けられるが、こちらではウメどころかロウバイがようやくほころんだところ。スイセンもまだだ。今咲いても、雪がまたやってくるのを知っているのかもしれない。
家のまわりで、ジョウビタキが鳴いている。大陸から渡って来る、橙色をした冬鳥だ。秋、「ヒッヒッ、カッカッカッ」という声を聞くと、ああ今年も来てくれたと、何だかホッとしてしまう。
しばらく見かけなかったのだが、他の場所でおいしいものを食べつくしてしまったのだろうか、誰にも食べられず残っていたナンテンの実を目当てに来ているようだ。
春目前、鳥にとっては食べ物を探すのに苦労する時季。これまで人気のなかった庭のえさ台のカキにも、ヒヨドリやシロハラが姿を見せる。静かな冬の窓の外に、ちらちらと動く影があるのは何だかうれしい。
さまざまな鳥がさえずり生命力に満ちた初夏とは異なり、冬の山は一見眠っているよう。しかし、木々が葉を落としたこの季節は、バードウォッチングにうってつけだ。繁殖期でないせいか警戒心も比較的うすく、双眼鏡など使わなくても、その可愛らしさを楽しめることが多い。
小さなエナガやシジュウカラなどの群れが、枝から枝へ渡りながらにぎやかに通り過ぎていく。冬枯れのなかに鮮やかな空色はルリビタキ。脇腹の橙がおしゃれ。黒い冠羽に黄色い顔、地面で何か探しているのはミヤマホオジロだ。
鳥も人も、長い冬を何とかやり過ごし、一気にやってくる春を待ちわびている。
写真:梅が咲くようになればヒヨドリもひと安心か
(文・写真 /田代信行)
この記事は、2010年2月7日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。
消え去っていく蓑具 - 「匹見再発見」 63
「蓑(みの)笠つけて」と 「案山子(かかし)」の歌にあるように、蓑は昭和20年代までは野良仕事などに雨、雪を防ぐための外套(がいとう)として、必需品だった。
匹見では「コウラミノ」といって、コウラで編まれるものが主流であった。ここでいうコウラというのは、オクノカンスゲという35cmほどになる植物をいう。
9月前に収穫して10日ばかり乾燥させ、そして束ねて泥水に浸す。10月末、表面の柔らかな緑色がとれて白くなったところで洗って乾かし、カセという蓑編み台を使って編んだ。
材料のオクノカンスゲは、町内にコウラ谷という地名があることからみてもわかるように、比較的自生していることなどから昭和10年代には1千枚も編まれたといい、そのほかハバキ、キャハンもつくられた。
このような蓑については記・紀のスサノオノミコトの神話に登場するなど古く、また秋田県のナマハゲのように、それを着衣することは異界からの来訪者を意味するという行事・説話も多く伝えられている。
さて、コウラのほか稲ワラもあるが、手軽く得やすいコウラのものよりは編まれることは少なかった。それは長持ちしないという短所にあったらしい。ヒネリ編みといわれて下方から仕立ていくもので、もち米の稲ワラが最適という。
私はそのヒネリ編みしたものを持っていて、とくに裏側からみる高度な技術に圧倒される。それは昭和57年ごろの落合地区の斉藤米吉氏(故人)の手によるもので、その技巧美に感嘆し、無理やり所望したものだ。
こうしたものは今では化学製品一辺倒となって見捨てられていったが、先人たちが身近にあるものを活用し、知恵と技術で作り上げられてきたものを目にすると、そこには温かな優しさの結晶をみることができる。私にとっては大切な一品だ。
写真:裏側からみた稲ワラ蓑とハバキ
(文・写真 /渡辺友千代)
この記事は、2010年1月24日付の山陰中央新報掲載分を転載したものです。